兵庫県宝塚市の介護老人保健施設にて、事務職として勤務していた60代の女性が、新型コロナウイルスによる大規模クラスター発生の対応に従事し、その後うつ病を発症したことが明らかになりました。この一件について、西宮労働基準監督署は労災としての認定を下したことが報じられています。

各社の報道によりますと、2017年より施設を運営する社会福祉法人で勤務していた該当女性は、2021年4月のコロナ第4波中に施設内で感染者集団が発生。これに伴い、介護職員の不足を補うために隔離エリアでの勤務を命じられました。彼女は、防護服を身につけて、配膳やおむつ交換、さらには感染者の遺体の搬送まで、短期間ながらも過酷な業務を担っていました。

彼女は感染者の介護業務に従事した後、仮に事務職に復帰したものの、見た遺体の光景が繰り返し思い出され、食欲不振や不眠などの症状が出現。結果、2021年6月にうつ病と診断されたといいます。

この問題を受けて厚生労働省は、新型コロナウイルスに対応する介護職員のメンタルケアに関する専用ガイドを策定。その中で、平時よりも大きな心理的ストレスを抱えていると指摘し、更なるメンタルヘルスケアの推進を呼びかけています。

今回の事例は、新型コロナウイルスとそれに続く労働環境の変化が、従業員の心の健康にどれほどの影響を及ぼすかを示すもので、労働者の健康やメンタルケアへの注意が再び強調されることとなりました。