日本の高齢化が進む現状を具体的に示す「100人の日本」を通じて、厚生労働省が公表した「令和5年版厚生労働白書」が、我が国の介護と医療の現場に存在する深刻な課題を浮き彫りにしている。

先進国の中でも著しく高齢化が進む日本。100人単位での人口構成を見ると、29人が65歳以上の高齢者で、その中でも75歳以上が15.5人となっている。この統計だけを見ても、日本がどれほど高齢化が進んでいるかが理解できる。さらに、この高齢者群の中で介護サービスを実際に受けているのはわずか4.2人となっている。このギャップから、高齢者が増加する中で、十分な介護サービスを受けることができていない実情が明らかになる。

一方、医療の現場でも、循環器系の疾患を持つ患者が入院・通院を合わせると約1,021,000人と多い。さらに、1日あたりの医療費が約1,177億1,644万円にも上ることから、急増する高齢者層に伴う疾患やケアのニーズに応える医療費の増加が懸念される。

日本の一日を映すデータにも、我が国の課題が凝縮されている。例えば、1日に4,299人が亡くなり、そのうち492人が老衰での死亡であることを考慮すると、健康寿命の延伸や高齢期の質の高い生活を支える医療・介護のあり方が求められていることが明らかだ。

この白書から見えてくるのは、高齢化が進む中での介護と医療のサービス供給の不足、そしてそれに伴うコスト増の課題。これからの日本が、持続可能な健康社会を築くためには、これらの課題への取り組みが不可欠となる。