老後を迎え、夫婦二人三脚で過ごしたいと考えるのは当然のこと。しかし、実際に夫婦で介護施設に入居することは意外と難しいのが現状である。

多くの高齢者が望む「夫婦での老人ホーム入居」。その背後には「今まで通り一緒に暮らしたい」「子供たちに負担をかけたくない」といった心情が潜んでいる。確かに、一部の施設には夫婦部屋としての取り扱いが存在するが、実際には1人部屋が主流。さらに、夫婦部屋があってもその数は限られ、入居希望の倍率は高まる傾向にある。

さらに問題となるのは、夫婦の身体状況や要介護度の違い。異なるケアレベルの夫婦が同じ施設に入居することは難しいのが現実だ。特に、公的施設での夫婦同室の入居は難しく、特養(特別養護老人ホーム)などでは2人部屋の設置自体がない場合が多い。

では、夫婦同室を希望する場合、どうしたら良いのだろうか。現在、夫婦同室の入居を実現しやすいのは民間施設である。例えば、介護付有料老人ホームでは24時間体制の介護サービスを受けられる上、入居条件も要支援1以上と比較的幅広い。また、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でも、夫婦それぞれのニーズに合わせてサービスを受けられるため、夫婦での入居を考慮する方には適している。

しかし、夫婦同室入居を選ぶ際の注意点も存在する。例えば、どちらかが介護が必要になった場合の対応や、もしもの時の退去に関する条件など、様々なシチュエーションを想定して事前に情報を収集することが必要だ。

夫婦での老後生活を考える際、介護施設選びは大きなポイントとなる。必要な情報をしっかりと掴み、夫婦二人の生活に合った施設を選ぶことが、安心した老後を迎えるための第一歩と言えるだろう。