2022年に実施された国民生活基礎調査の結果が4日、厚生労働省により公表されました。調査結果は、我が国の家庭状況の変動と所得格差を浮き彫りにしています。

調査によれば、2021年の1世帯当たり平均所得は全世帯で545万7千円でした。その一方で、高齢者世帯は318万3千円、高齢者世帯以外の世帯は665万円、児童のいる世帯は785万円となっており、所得格差が明らかになっています。

さらに、要介護者のいる世帯における世帯構造の変化も注目に値します。「核家族世帯」が42.1%で最も多く、「単独世帯」が30.7%、「その他の世帯」が16.4%で続きます。年次推移を見ると、「単独世帯」及び「核家族世帯」の割合は上昇傾向であり、「三世代世帯」の割合は低下していることが分かります。

要介護者の世帯について詳しく見てみると、「単独世帯」では要介護度の低い者のいる世帯の割合が高く、「核家族世帯」「三世代世帯」では要介護度の高い者のいる世帯の割合が高くなっています。これは、家族構造と高齢者の介護ニーズの関連性を示しています。

主な介護者の状況も調査の対象となり、「要介護者等」と「主な介護者」の同居率が45.9%となっています。また、同居の主な介護者の中で最も多いのは「配偶者」で22.9%、次いで「子」が16.2%です。

性別や年齢による違いも明らかにされました。主な介護者の中では、性別による分布は女性が多い傾向にあります。また、介護時間に関して、「要支援1」から「要介護2」までの要介護者の世帯では、「必要なときに手をかす程度」の介護が最も多い一方、「要介護3」以上の場合には、「ほとんど終日」の介護が必要となるケースが最も多いことが分かりました。

特に、介護時間が「ほとんど終日」である「同居の主な介護者」の中では、「女」が74.5%、「男」が25.5%という結果が出ました。続柄別では、女性の「配偶者」が45.7%で最も多く、次いで女性の「子」が18.5%、男性の「配偶者」が15.7%となり、女性が主な介護者となるケースが圧倒的に多いことが明らかになりました。

これらの結果は、我が国の高齢化社会における家庭の形態や介護の現状、さらには性別や世代間の格差について、深く考えるきっかけを与えてくれます。今後の政策策定や社会的支援の強化に向けて、これらの統計は非常に重要な指標となります。