日本の高齢化が進む中、社会問題として目を背けることのできない「老老介護」の現実が深刻化しています。老老介護とは、高齢者が同じく高齢の配偶者や親、兄弟を介護する現象を指し、核家族化や少子化、地方の過疎化などが背景にあるとされています。

厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)によると、60歳以上同士の「老老介護」は15年間で50%強から、70%にまで増加しています。特に顕著なのは、80歳以上の夫が妻を介護するケースで、男性の平均寿命が女性より短いため、配偶者の介護が必要となる時点で、介護を行う側の男性も高齢になっていることが一因とされています。

この現状は、介護者となる高齢者の身体的、精神的負担を増大させています。これが原因となり生活困窮や健康問題を引き起こすだけでなく、警察が介入するような事件が起こるという深刻な結果を招く事例も報告されています。このような社会問題化を背景に、老老介護の現状と課題への理解が求められています。

対策としては、介護サービスの利用促進や地域の連携強化が必要とされています。予防的な観点からは、介護予防教育や生活習慣の見直しも重要とされています。

しかし、実際のところ、老老介護の実態や課題についての理解はまだまだ不足しており、適切な支援策を講じるためには、さらなるデータと情報が必要となっています。これからの社会全体での課題として、老老介護問題の解決に向けた取り組みが求められています。