高齢化が進む中で、介護への関心が高まる一方で、若い世代の多くは現実味を感じず、介護に対して関心を示さない状況が続いています。厚生労働省の統計によると、2021年時点の65歳以上の高齢者数は3600万人を超え、これは全人口の約3割を占めています。また、2025年には、65歳以上の高齢者が全人口の4割に達すると予測されています。

介護保険制度の運用状況によると、2021年度の介護サービス利用者数は約620万人で、この数字は年々増加傾向にあります。しかし、一方で若い世代の介護への関心は低いままです。厚生労働省の調査では、20代~30代の若者の約60%が「自分が介護を必要とすることは考えにくい」と回答しています。

従来の若者向けの介護啓発イベントやキャンペーンでは、若者が介護を身近に感じてもらうまでには至りません。この問題に対する新たな解決策として、若者が普段利用するメディアやフォローしているインフルエンサーを通じて、介護に関する情報や体験談を発信し、興味を持ってもらうことが重要です。

また、高校や大学での介護教育を充実させ、若者が介護の現実を理解できるような授業を実施することで、将来的な関心喚起が期待されます。さらに、家族間での介護に関する話題を積極的に取り上げ、若者が親世代の意見や経験を聞くことで、現実味を持って理解できる機会を提供することが必要です。

さらに、企業や地域コミュニティが積極的に介護問題に取り組むことで、若者が自然と介護の現場に触れる機会を増やすことができます。例えば、企業が社員向けに介護研修を提供したり、地域コミュニティがボランティア活動を通じて高齢者と交流する場を設けることが挙げられます。

このような取り組みを総合的に展開することで、若者の無関心な状況を改善し、介護問題への理解と関心を高めることができると期待されます。今後も政府や関係機関、企業、教育機関、家族や地域コミュニティが連携して、若者への介護啓発活動を積極的に推進することが求められます。