厚生労働省の加藤大臣は、7月11日の会見で高齢者や介護施設への災害対策強化とヤングケアラーを含む家族介護者支援の推進を明言しました。

加藤大臣は九州地方の大雨被害について触れ、被災者支援に全力を尽くすと表明しました。被害には高齢者施設が含まれ、一部利用者が避難している事態となっています。

これらの発言は、日本社会が直面している高齢化と介護問題、そして新たな課題として浮上しているヤングケアラー問題への対応策を必要としていることを浮き彫りにしました。

特に、10日に開催された介護保険部会で示された基本指針案には、ヤングケアラーと家族介護者への支援が重要と明記されています。厚労省はこれを受け、介護保険制度の改革を通じて家族介護の負担軽減に取り組む方針を示しました。

厚生労働省の統計によると、日本の高齢者の約3割は認知症で、この課題は今後さらに深刻化が予想されます(2022年調査)。また、ヤングケアラーの現状についても問題が指摘されています。経済協力開発機構(OECD)の2018年報告によると、日本の15~34歳の介護者は約10万人で、多くが教育や就労の機会を逸しているとされています。

厚労省は、これらの問題を解決するために全世代型社会保障の構築に注力するとしています。具体的には、関係省庁と連携し、社会全体で家族介護者を支える施策を進める考えです。

加藤大臣はまた、介護保険制度の給付と負担の見直しについても言及しました。少子化対策の財源確保と物価高の中での介護報酬改定を念頭に、持続可能な制度改革を目指すと述べました。