介護職員の待遇改善を目的とした加算政策には、処遇改善支援補助金、特定処遇改善加算、介護職員ベースアップ支援加算などが含まれている。しかし、2022年10月に導入された介護職員ベースアップ支援加算による給与の増加を実感できる介護職員は少ないという。
処遇改善加算(月額9,000円相当の賃上げ)は、岸田政権の重要政策の一つであるにもかかわらず、2割から3割の事業所がこの加算を算定していないため、介護職員に補助金が行き渡らない現状が明らかになっている。加算取得を行わない理由として、「職種間の賃金バランスが崩れることへの懸念」や「賃金改善の仕組みを導入するための事務作業の煩雑さ」が挙げられており、課題が依然として存在している。
さらに、サービス種別によって補助金の交付率に差があることから、9,000円の満額賃上げが実現できないケースも多く存在している。
令和4年10月の介護報酬改定(臨時改定)を経て、新たな介護職員ベースアップ支援加算が創設された。厚生労働省は、加算の対象を介護職員とし、事業所の判断によって他の職員の待遇改善にもこの加算を活用できるよう柔軟な運用を認める方針を示している。
しかしながら、ある介護関係者は、「待遇改善のための加算が実施されていることは理解できるが、給与が実際に上がった実感はほとんどない」と話す。
給与水準が低いとされる介護業界において、給与面での待遇改善の課題が依然として山積していることが浮き彫りとなっている。
政府と関係機関は、介護職員の待遇改善策をより効果的に実施するために、制度の運用を見直し、より分かりやすく、実効性のある方法を模索する必要がある。また、事業所側に対しても、加算制度の適用や運用に関する支援や情報提供を行うことが求められる。