高齢者をターゲットにした詐欺被害が急増している。独立行政法人国民生活センターによると、高齢者は「お金」「健康」「孤独」という3つの大きな不安を抱えており、悪質業者はこれらの不安を巧みに煽り、親切に装って信頼を勝ち取り、年金や貯蓄などの財産を狙っている。
特に高齢者は自宅にいることが多く、電話勧誘販売や家庭訪販による被害に遭いやすい。電話勧誘販売では、消費者が要請していないにもかかわらず業者が電話をかけ、強引な勧誘や虚偽説明を行う。家庭訪販では、消費者の家を訪問し、同様に強引な勧誘や長時間にわたる説明不足の問題が見受けられる。
インターネット通販も高齢者被害の一因となっている。無料と思わせるアダルト情報サイトに登録したところ、料金を請求されるケースや、利用した覚えのないサイト利用料を請求されるケースが多発している。また、有名企業や公的機関の職員を名乗り、信用させた上で商品やサービスを契約させる「かたり商法」も横行している。
さらに、「代わりに購入すれば高値で買い取る」といった劇場型勧誘や、「登録ありがとうございます」といったワンクリック請求も高齢者を狙った手口として報告されている。無料を謳ったサービスに対して料金を請求する無料商法も多く、高齢者の不安を利用した詐欺手法は多岐にわたる。
特に深刻なのは、自治体や税務署の職員を名乗り、医療費や税金の還付を装ってATMを操作させ、現金を振り込ませる還付金詐欺である。次々販売では、一人の消費者に対して複数の商品を次々と契約させるケースや、複数の業者が連携して契約を迫るケースが見られる。
訪問購入では、突然自宅を訪れた業者が貴金属を安値で買い取るなど、消費者の無知につけ込む手口が多発している。このような被害を防ぐためには、高齢者自身がこれらの手口を理解し、警戒心を持つことが重要である。
独立行政法人国民生活センターは、高齢者がトラブルに巻き込まれないよう、事例や手口についての情報を収集し、適切な対応を呼びかけている。社会全体で高齢者を守るための意識を高めることが求められている。