近年、高齢単独世帯や高齢夫婦世帯の増加に伴い、「身元保証等高齢者サポート事業」の需要が高まっています。しかし、この事業にまつわるトラブルが増えており、総務省が今年8月、その実態についての調査結果を公表しました。

実態と問題点

調査結果によれば、このサポート事業には直接規律・監督する法令や制度が存在せず、民間事業者による自由契約の形をとっています。一方で、高齢者特有のニーズやリスクを考慮した消費者保護の必要性が高まっています。

具体的なトラブルとしては、契約内容の説明不足や、預託金の管理、利用者の判断能力の問題、契約履行の確認、解約条項の不在などが挙げられます。地方公共団体の情報提供も低調で、利用者とその家族が安心してサービスを利用するための情報が十分に得られていないのが現状です。

消費者保護の推進

これらの問題を解決するため、総務省は消費者保護の推進と事業の健全な発展に向けた行政措置の検討を始めています。特に、契約における透明性の向上や、利用者の判断能力に応じた適切なサポート、地方公共団体の情報提供の充実が求められます。

利用者と事業者、双方の安全を確保へ

「身元保証等高齢者サポート事業」は、入院や施設入所時の保証から日常生活の支援、死後の手続きまで幅広くカバーしています。そのため、悪質な業者から利用者を守ると同時に、信頼できる事業者を確保する仕組みの構築が急務です。

総務省の調査結果は、これからの高齢者サポート事業の方向性を考える上で貴重なデータとなります。安全で質の高いサービスを利用者に提供するため、行政、事業者、利用者が一丸となって取り組む姿勢が求められています。