厚生労働相の加藤勝信氏は7月11日の記者会見で、介護保険制度の負担増に向けた議論について言及し、利用者が必要な介護サービスを受けられるような対策を進める必要があると述べた。また、これは社会全体で家族介護者を支える一環としての考え方であると強調した。

介護保険制度の専門家部会では、65歳以上の高齢者の介護保険料の引き上げについて議論が行われている。具体的には、一定以上の所得がある高齢者の保険料を引き上げ、逆に低所得者の負担を軽減する方向性が考えられている。また、介護サービスを受けた際の自己負担の引き上げも検討されている。今年末までに結論が出されることが期待されている。

介護保険制度の運営は、3年ごとに内容や負担額などが見直されている。しかし、介護費用の増大や高齢者の生活への影響を考慮する必要性から、議論は先送りされてきた。今年秋に始まる介護事業者への報酬改定と並行して、議論が再開された。

介護保険料は、制度が始まった2000年度には全国平均で月2911円だったが、急速な高齢化が進む中で、現在は月6014円と2倍以上になり、2040年度には月9000円程度になると推計されている。このため、負担の公平性を保つためにも、所得水準に応じた負担の見直しが必要とされている。

介護保険制度の改定に向けては、高齢者が負担する介護保険料の見直しと、介護サービス利用時の自己負担額の見直しの2つが検討されている。具体的な方向性はまだ明らかになっていないが、物価高や少子化などの問題に対応しつつ、持続可能な制度を作り上げるための議論が求められている。

この議論は、介護保険制度の持続可能性だけでなく、高齢者の生活保障や社会全体の負担配分にも影響を与える。