内閣府が2023年6月20日に公表した「高齢社会白書」によれば、日本の総人口1億2,495万人のうち、65歳以上の高齢者人口が3,624万人となり、現在の高齢化率は29.0%となっています。これは我が国が高齢化社会と呼ばれる所以であり、その進行は着実に続いています。

特に注目すべきは、75歳以上の人口が1,936万人となり、総人口に占める割合が15.5%を記録。65~74歳人口を初めて上回りました。この事実は、我が国の高齢者人口がより一層高齢化していることを示しています。

さらに未来を見据えると、高齢化の進行はより一層顕著となります。令和52年(2070年)には、全国民のうち2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になるとされています。また、高齢化率は、2030年には30.8%に、そして2070年には38.7%に達すると予測されています。

この白書から見えてくるのは、高齢者の定義が変わりつつあるという現実です。昔は一般的に65歳以上を高齢者と見なしていましたが、高齢社会対策大綱でも指摘されている通り、65歳以上を一律に「高齢者」と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや現実的なものではなくなりつつあります。日本老年学会・日本老年医学会では、高齢者の新たな定義として75歳以上を提案しており、我が国の高齢化状況を把握するに当たって、新たな視点が必要とされています。

このような高齢化社会の進展に伴う問題に対応するためには、新たな社会システムの構築が求められます。我が国の将来を見据え、高齢化社会に適応した新たな社会設計の必要性が、今まさに問われています。