今年3月に開かれた全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料によると、地域の特性に応じた認知症グループホームの整備が求められています。厚生労働省は、令和3年度介護報酬改定で地域の実情に合わせたサービスの整備・提供を促進するため、ユニット数の弾力化とサテライト型事業所の基準創設を行いました。地域の特性に応じた認知症グループホームとは、地域の高齢者人口や医療・介護インフラ、地理的特性などを考慮し、適切な規模とサービスが提供される施設です。
しかし、令和4年8月31日時点で、3ユニットの事業所は5.6%(66事業所)にとどまり、サテライト型事業所を設置している事業所は1.0%(12事業所)と低い状況が続いています。また、「サテライト事業所の設置を認めている」市町村が50.4%(414市町村)であり、「認めていない」市町村が49.6%(408市町村)となっています。
「認めていない」市町村が多い理由として、自治体の財政負担や人材不足、地域住民の理解不足などが考えられます。また、地域ごとの高齢化率やサービス需要の違い、既存の介護施設との兼ね合いも影響していると推測されます。
低所得者への支援として、認知症グループホームの家賃等助成事業が実施されていますが、令和3年度介護保険事務調査によると、実施している市町村は102にとどまっており、利用者への助成が十分に行き渡っていない状況が浮き彫りとなっています。
認知症グループホームが抱える根本的な問題は、地域の特性に応じたサービス提供と低所得者への支援の不十分さにあります。例えば各都道府県や市町村が、地域の高齢者人口や医療・介護インフラの実情を把握し、必要なサービスが提供されるよう認知症グループホームの整備を促進すべきです。これには、サテライト型事業所の設置を積極的に認めることや、ユニット数の弾力化を活用することが重要です。