厚生労働省が公表した「令和4年度少子高齢社会等調査検討事業」の報告書によれば、日本の高齢者が感じる孤独感についての新たな洞察が得られました。調査は年齢階層別、地域別に分けて行われ、3,000人からの回答を基に結果がまとめられました。
調査結果によると、全体の45.5%が「孤独を感じることがある」と回答しています。しかし、60歳以上の高齢者は、より若い世代に比べて孤独感を感じていないことがわかりました。また、対面コミュニケーションの頻度が高い人ほど、孤独感を感じていないことが示されました。この結果は、家族や友人だけでなく、地域の住民や活動の仲間とのコミュニケーションにも当てはまりました。
一方で、非対面コミュニケーションと孤独感との間には、対面コミュニケーションほどの明確な関連性は見られませんでした。ただし、「居住地域の近隣の人」と「居住地域における活動の仲間」など地域の住民との非対面コミュニケーション頻度が高いほど、「孤独感がない」と回答した人の割合が高かったとのことです。
さらに、調査では「対面コミュニケーションを週5日以上とる」と回答した人の中で、「同居の家族」と「現在の学校・職場の友人・同僚」の割合が高く、地域活動の仲間やオンライン友人とのコミュニケーションが比較的少ないことが明らかになりました。
以上の調査結果をもとに、高齢者が感じる孤独感を減らすための一つの方策として、地域住民や活動の仲間との対面コミュニケーションの機会を増やすことが重要であると考えられます。これは特に、高齢者が主体的に地域のコミュニティに参加し、積極的にコミュニケーションをとることを促す社会的な支援が求められていると言えます。
高齢者の孤独感や孤立感は、日本の超高齢社会における重要な課題の一つです。これらの調査結果は、今後の高齢者支援や地域コミュニティの形成における参考となることでしょう。