高齢化社会の進行を受け、医療費の増加が課題として取り上げられてきました。厚労省の最新データが、この実態をさらに明確にしています。

令和3年度の国民医療費は、前年度に比べて4.8%増の45兆359億円を記録。一人当たりの国民医療費も5.3%増となり、国内総生産(GDP)に対する比率も8.18%と前年度を上回りました。

この増加背景の1つとして、後期高齢者の医療給付が目立っています。総医療費の34.9%を占める15兆7,246億円は、後期高齢者向けの医療給付に充てられており、2.9%の増加となっています。また、65歳以上の医療費は、総医療費の60.6%にあたる27兆3,036億円にのぼり、一人当たりの医療費は75万4,000円と、65歳未満と比較して格段に高いことが伺えます。

こうしたデータから、高齢者の医療需要が高まっていることが読み取れます。特に、薬局調剤医療費での差が顕著で、65歳未満が平均で3万7,500円なのに対し、65歳以上では12万5,100円となっています。

さらに、性別別のデータを見ると、65歳以上の男性の一人当たりの医療費は82万4,700円、女性は69万9,600円と、男性の方がやや高くなっています。しかし、全年齢層を通じて、女性の医療費が男性よりも高い傾向にあることが示されました。

今後の医療制度の運営や、中高年の方々の健康管理の重要性がより一層増してきます。健康な生活を送ることで、医療費の抑制や、より良い高齢期を迎えることが期待されます。

これからも、国民の医療費の動向や、高齢者の健康状態に注目していく必要がありそうです。