令和5年度の社会保障関係予算は、前年度から6200億円増の36.9兆円となりました。これにより、日本の高齢化に伴う社会保障関係費の増加を緩和する政府の方針が実現されました。ここでは、介護に関連する主な投資とその意義について解説します。
新たな予算案では、介護職員の働きやすい環境の創出に向けた取り組みが強化されています。具体的には、介護職員の生産性向上を図るための支援メニューを一元化し、それを活用するための総合相談センターの設置が新たに予定されています。また、介護ロボットやICT機器の導入、介護サービス事業者の財務状況の透明化を通じた経営改善なども推進されます。
認知症対策も引き続き重視されており、認知症の理解普及、医療拠点の整備、認知症研究の推進などが掲げられています。また、地域包括ケアシステムの推進、高齢者の社会参加と介護予防、認知症患者への支援、在宅医療と介護の連携等が一体的に進められます。
しかし、予算の配分には改善の余地があります。保険者機能強化推進交付金と介護保険保険者努力支援交付金の評価指標や配分基準が重複している問題が指摘されており、その整理が進められています。
全世代型社会保障構築会議では、持続可能な社会保障制度の構築に向けた報告書がまとめられました。その中で、介護に関するいくつかの具体的な改革が提案されています。例えば、介護施設でのスタッフ不足の解消や、現場の労働環境改善などが必要とされています。さらに、在宅介護サービスの充実や、介護者の支援、地域との連携を強化することが提案されています。
報告書では、家族や地域社会と協力しながら、より自由度の高い介護サービスを提供することが重視されています。また、介護サービスの質を向上させるためには、技術の活用や、スタッフの教育・研修の充実が求められています。
出典: 財務省広報誌「ファイナンス」、「令和5年度 社会保障関係予算のポイント」より