鹿児島県が3月30日に発表したところによると、南さつま市の訪問介護事業所が介護報酬の不正請求・受給の疑いがあることから、同事業所に対して5月1日から3カ月間の指定効力の全部停止処分が下されることになった。この処分により、7月31日までの間、当該事業所は介護保険を適用した全てのサービスを提供することができなくなる。

厚生労働省は今年3月に、2021年度の介護保険施設・事業所の指定取り消し等の処分状況を公表。昨年度と同様に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、直接施設などに立ち入ることが困難だったため、監査件数は750か所と前年度より67か所減少。しかし、処分件数は4カ所減の105カ所となり、指定取り消しは56カ所(前年度比4カ所減)、指定効力の一部停止または全部停止処分の件数は前年度と同数の49カ所であることが明らかになった。

だが、こうした不正請求の実態が表面化するのは氷山の一角に過ぎない。

2017年度には過去最高の257カ所で処分が実施されていたが、自治体で対応できる職員が少ないこともあり、処分件数は徐々に減少している。この背景には、発覚していない不正請求事件が多数存在し、行政側の対応が追いついていない現状があるとみられる。

不正請求問題は、高齢化社会の進行とともに増加する介護サービスの需要に伴い、今後も取り締まりが強化されることが予想される。行政は不正請求に対する対策の強化を進めるとともに、適切な介護サービスの提供が確保されるよう取り組む必要がある。