厚生労働省は令和3年度の高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果を公表しました。調査結果によると、介護施設従事者による虐待の相談・通報件数は2,390件、虐待判断件数は739件で、いずれも過去最多を記録しました。一方で、養護者による虐待の相談・通報件数は過去最多の36,378件、虐待判断件数は16,426件で減少しました。

介護施設従事者による虐待の相談・通報及び虐待判断件数が過去最多となった要因として、令和3年4月1日に施行された指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令により、虐待防止のための委員会の開催や指針の整備が義務づけられたことが挙げられます。これにより、各施設における虐待防止の取り組みが進められ、施設・事業所職員、元職員、管理者等からの相談・通報が増加したと推測されています。

新型コロナウイルス感染の影響下であっても、市町村は高齢者虐待に係る通報等を受けた際に、原則として高齢者本人への訪問等による安全確認や事実確認を速やかに行うことが求められています。特に、介護施設従事者による虐待については、都道府県と虐待対応を行う市町村間で十分な情報共有や連携が重要であり、再発防止に向けた取り組みを評価することが不可欠です。

また、性的指向・性自認(性同一性)に関すること等を理由とした虐待を受けた高齢者を含め、老人福祉法に基づく措置入所等が必要な

場合には、本人の意思や人格を尊重し、適切な措置が講じられるよう市町村への周知が求められています。

厚生労働省は引き続き、高齢者虐待防止対策の充実や関係機関間の連携強化に努めるとともに、市町村への指導・支援を行っていくことが重要とされています。また、高齢者やその家族が安心して介護サービスを利用できる環境づくりが求められており、関係者が一丸となって虐待防止に取り組むことが不可欠です。

今後も高齢者虐待の防止に向けた取り組みを継続的に推進し、全国の介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議を通じて情報共有やモニタリングを行い、安全で質の高い介護サービスの提供が確保されるよう努力していくことが重要とされています。

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