2023年は訪問介護事業界にとって厳しい年となっています。東京商工リサーチの調査によると、今年の1月から8月までの訪問介護事業者の倒産件数は前年同期比46.6%増の44件に達し、これはコロナ禍以前の2019年の58件を上回るペースです。特に販売不振が最多の原因であり、利用者の減少が業界の困難を加速しています。
この調査データによれば、倒産の原因の約7割を占める販売不振が33件と、前年同期比で32.0%増加しています。また、その他の偶発的原因による倒産が4件、運転資金の欠乏による倒産が3件となっており、小規模事業者の負担が重いことが示されています。
また、負債額の詳細も見逃せません。9割の倒産が1億円未満の負債額を抱えている事業者によるものであり、このうち77.2%は1千万円以上5千万円未満の負債額を示しています。これが示すのは、小・零細規模の事業者が特に経済的困難に立たされているという現実です。
2023年の経済状況は訪問介護事業者にとって厳しい状況を示しており、倒産の増加が進行しています。特に物価の高騰と人手不足が事業者にとって双方向のプレッシャーとなっています。この様な状況下では、事業者は人材確保と経営安定のための新たな策を模索する必要があると言えます。
さらに、負債額別のデータを見ると、1千万円以上5千万円未満の倒産が34件と最多を占めており、その次に5千万円以上1億円未満の倒産が6件、1億円以上5億円未満の倒産が4件と続いています。一方で10億円以上の大型倒産は記録されていません。これは、規模の大小に関わらず経営困難が広がっていることを示しています。
業界の適応力が試される今、政府や関連組織は訪問介護事業者の支援強化を検討する時期となっています。高齢者社会の進行と共に訪問介護サービスの需要は増加する見込みであり、事業者が経済的困難を克服できるよう取り組むことが急務です。今後の政策方針と支援策の動向に注目が集まるでしょう。