政府は2024年度に行われる茨城県つくば市の市長選及び市議会議員選挙で、移動式投票所を活用する新たな試みを計画している。特区制度を利用し、投票所が移動するエリアを拡大することで、自宅前での投票が可能となる仕組みを導入する。この取り組みは、投票の不便さを軽減し、投票率の低下に歯止めをかける目的がある。

つくば市は、先進技術を用いて社会的課題を解決することを目指し、2022年に「スーパーシティ型国家戦略特区」の指定を受けている。現行の公職選挙法では移動式投票所の導入は可能だが、設置場所を告知するなどの細かな規定がある。しかし、特区でこのような手続きの一部を省略することができるため、「自宅投票」の実現が一歩前進した。

つくば市の選挙におけるこの新たな取り組みは、期日前投票に限定される。具体的には、投票箱を搭載したワゴン車が選挙期間中に市内を巡り、投票希望者はインターネットを通じて投票場所を事前予約する。インターネットに不慣れな人への配慮として、電話による予約も許可される。自宅の庭や個人の敷地内での投票も可能であり、スマートフォンのアプリなどでワゴン車の現在地を確認するシステムも整備される。

この新たな取り組みは、地理的または時間的な制約から投票に参加できない市民、特に高齢者や障害者の政治参加を促進することを目指している。政府はつくば市でのこの試みの成果を検証し、全国に展開する可能性を探っていく。

一方、このような新たな投票システムの導入は、選挙運営の効率化と公平性確保、セキュリティ対策などの課題をはらんでいる。政府はこれらの課題を認識し、対策を講じながら新たな選挙形式の導入を進めていくとしている。