厚生労働省は、2024年から2026年度の介護保険事業の新基本指針の原案を発表し、初めて「ヤングケアラー」への支援強化を取り入れました。ヤングケアラーとは、病気や障害のある家族の介護や家事を行う若者のことで、こども家庭庁によると、これは本来大人が担う役割であり、重すぎる責任や負担により、学業や友人関係に影響が出ることがあるとされています。

新指針は、介護保険事業の実施主体である市区町村への指導として、地域の高齢者支援窓口である「地域包括支援センター」の相談体制を強化するよう促しています。これにより、地域の民生委員や社会福祉士と連携し、介護に追われるヤングケアラーに対し、負担軽減につながる行政サービスを紹介することを可能にします。

また、新指針では、各地での介護サービス提供体制を地域の実情に合わせて見直す方針も明記されています。高齢化や人口減少といった地域ごとの傾向を考慮し、介護施設の配置を再検討する重要性も指摘しています。

なお、厚労省は基本指針の原案をまとめるにあたり、2025年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になるという事実を踏まえました。このような背景から、家族を介護する人、特にヤングケアラーへの支援強化が必要となると判断されたのです。

ヤングケアラーに対する理解と支援の強化は、一人でも多くの若者が正常な生活を送り、適切な教育を受けられるようにするための重要なステップと言えるでしょう。今後、厚労省の新基本指針が具体的にどのように展開されるか、全国の関係者から注目が集まっています。