厚生労働省が発表した健康保険法等の一部改正について、今回は医療と介護の連携強化に注目します。新たな法律の施行は間違いなく前進となりますが、その中には未だ解決すべき課題も存在します。

新法では、地域協議の構築を通じて、かかりつけ医機能の活用が推進されます。これにより、医療・介護の各種計画への地域実情の反映が期待されます。しかし、実際に協議が円滑に行われるためには、地域の医療・介護体制や人材確保の課題がクリアされていることが前提となります。

また、医療保険者と介護保険者の一体的な情報収集・提供によるサービス質向上も期待される一方で、個人情報保護とのバランス確保が求められます。適切なデータ管理と利活用のための具体的なガイドラインの策定と啓発が不可欠となるでしょう。

さらに、医療法人や介護サービス事業者の経営情報報告義務付けとデータベース整備が進む中、小規模事業者の負担軽減策が十分に配慮されているかが問われます。

個人立の病院や介護事業所が地域医療連携推進法人制度に参加できる仕組み導入も進展と言えます。ただし、一定の要件が何であるか、それが新たな参入障壁とならないようにするための明確な基準設定が求められます。

新法制定は、全世代対応型の社会保障制度を目指す一歩となりました。改正の背景にある課題に対する着実な取り組みが、これからの社会保障制度構築の鍵となるでしょう。