人口減少が進む中、2065年には日本の総人口が9,000万人を割り込む見込みで、高齢化率は38%に達すると推計されています。一方で、共働き世帯は増加傾向にあり、男性雇用者と無職の妻からなる世帯は減少しています。介護離職者数は近年減少しているものの、依然として約9万9千人に上り、男性の割合も増加しています。

厚労省が今年1月に公表した資料によれば、家族の介護・看護を理由とする離職者は、50歳~64歳で多く、65歳以上も17.6%存在しています。また、介護施設入所の手続き期間に関しては、離職者の約3割が1年以上かかっていることが明らかになりました。

介護を理由に仕事を辞めるまでの期間と理由については、手助・介護を始めてから離職までの期間は約6割が半年未満、約3割が半年以上となっています。最も多かった理由は「勤務先の問題」で、その中でも「両立支援制度が整備されていなかった」が約6割を占めています。

仕事と介護の両立支援制度の周知状況については、専門職や地域資源等との連携がない企業が78.1%に上り、従業員への周知が不十分な状況です。また、企業調査によると、両立支援を推進する上での現在の課題は、「従業員の年齢構成から介護を行う従業員が増えることが懸念されること」や、「職場における人員配置や業務負担の方法が難しいこと」などが挙げられました。

厚生労働省は、両立支援制度を利用しやすい職場環境づくりを目指して、「両立支援等助成金」の支給や、中小企業向けの「育休復帰支援プラン」「介護支援プラン」策定・利用支援などの取り組みを進めています。さらに、「介護離職を予防するための両立支援対応モデル」の普及促進にも力を入れています。

これらの施策により、働く世代が介護負担による離職を避けられる環境を整えることが求められています。企業においては、働きながら介護を行う従業員への支援体制の整備や、制度の周知を徹底することが重要です。また、政府や自治体も、企業と連携し、介護サービスや福祉施設の充実を図ることで、介護離職の防止に寄与できるでしょう。

今後の高齢化社会を見据え、仕事と介護の両立が求められる状況はますます増えていくことが予想されます。企業や政府が連携して取り組むことで、介護離職の問題解決に繋がるとともに、働きながら家族の介護を担う従業員の負担軽減に繋がることでしょう。持続可能な社会の実現に向け、仕事と介護の両立支援が一層重要な課題となっています。